色の隠れ方
緑チャンネルをオフにすると、なぜ数字が現れるのでしょうか? 石原色覚検査表のしかけのすべてを、1枚の表で説明します。
7通りの第3表、7通りの答え
画像編集ソフトで色チャンネルをオン・オフした第3表です。それぞれの下に、中等度の2型色覚の人が読んだ答えを示します。
- 印刷どおり2型色覚の答え:5
- 赤チャンネルを除く2型色覚の答え:5
- 緑チャンネルを除く2型色覚の答え:6
- 青チャンネルを除く2型色覚の答え:見えない
- 赤チャンネルのみ2型色覚の答え:6
- 緑チャンネルのみ2型色覚の答え:見えない
- 青チャンネルのみ2型色覚の答え:5(かすか)
色を取り除いたら、数字が現れました。その理由は、目が色をどうとらえるかにあります。
画面は赤・緑・青で、目は錐体で色をとらえる
画面は、赤、緑、青の3つのチャンネルを混ぜて色を出します。目は、これらのチャンネルを直接見ているわけではありません。目には3種類の錐体があり、どの錐体も、3つのチャンネルすべてが混ざったものを受け取ります。
| 錐体 | Rから | Gから | Bから |
|---|---|---|---|
| L(「赤」) | 0.31 | 0.64 | 0.05 |
| M(「緑」) | 0.16 | 0.76 | 0.09 |
| S(「青」) | 0.02 | 0.11 | 0.87 |
「赤」(L)の錐体も「緑」(M)の錐体も、信号の大部分を緑チャンネルから受け取ります。
線の太さは、その錐体の信号のうち、そのチャンネルから来る割合を表します(リニアRGB)。
脳は錐体を比べる
脳は、3つの錐体を1つずつ別々に使うのではありません。錐体から3つの信号をつくります。明るさ(L + M)、赤緑(L − M)、青黄(SとL + Mを比べたもの)です。
2型色覚や1型色覚の人には、赤緑の信号がありません。残るのは明るさと青黄です。3型色覚の人は、かわりに青黄を失います。
脳は錐体の信号を足し合わせ、比べます。線で消した信号が、その色覚の型で失われる信号です。
第3表は3つの部分でできている
- オレンジの弧:6だけが使う
- 緑の線:5だけが使う
- ピンクの輪:両方が使う
- 背景:3つのオリーブ色のインク
6は赤緑の信号で、5は青黄の信号で描かれています。明るさはノイズです。背景には、暗いものから明るいものまで3つのオリーブ色がでたらめに散らばり、数字のインクの明るさはその間に入っています。そのため、明るさだけでは、どちらの数字も見えません。
緑を抜くと、6が現れる
- 灰色の点:背景の3つのオリーブ色
- オレンジの点:6の弧
- ピンクの白抜きの円:2つの数字が共有する輪
- 緑のひし形:5の線
赤緑の信号がないので、2型色覚の人は、6のオレンジ色とオリーブ色を明るさでしか見分けられません。そして明るさでは、オレンジ色は迷彩の中に隠れています。暗いオリーブや中間のオリーブよりは明るいものの、明るいオリーブより明るくはありません。グラフのどこに線を引いても、オレンジ色の点をすべて片側に、オリーブ色の点をすべて反対側に分けることはできません。だから6は隠れます。
オリーブ色は明るさの大部分を緑チャンネルから、オレンジ色は赤チャンネルから得ています。緑を抜いていくと、オリーブ色はオレンジ色よりずっと速く暗くなります。0%では、最も暗いオレンジ色と同じくらい明るいオリーブ色の点はほんのわずかになり、6が現れます。赤チャンネルだけを灰色で表示しても、同じことが起こります。
赤と緑の差がノイズを打ち消す
正常色覚には、LとMを比べる赤緑の信号もあります。オリーブ色どうしの明るさの違いは、両方の錐体を一緒に強めるので、比べると打ち消されます。赤緑の信号では、3つのオリーブ色はほとんど同じです。オレンジ色はそこから遠く離れていて、最も暗いオレンジ色に近づくオリーブ色の点は1つもありません。
| 正常色覚:赤緑 | 2型色覚:明るさ | |
|---|---|---|
| 6の弧 | 0 | 183 |
| 共有の輪 | 0 | 180 |
これが検査の核心です。その人に欠けている信号の中に数字を置き、その人が持っている信号はノイズで埋めるのです。
すべての表が同じ信号を使っている
第1表(示説表):12は、錐体には背景と同じ明るさですが、杆体にはずっと暗く見えます。そのため、杆体だけの場合も含めて、どんな色覚でも何らかの違いが見えます。
第10表(消失表):2のオレンジ色の一つひとつに、背景の中に「双子」の色があります。正常色覚では色差で11〜23の違いがありますが、2型色覚ではわずか1〜3です。
第2表(変換表):ピンクの3とオレンジ色の線で8ができています。2型色覚では、オレンジ色がオリーブ色の背景にとけこみます。3が残るのは、青黄の信号でも背景と違うからです。
第22表(分類表):どちらの数字も、灰色と同じ明るさです。それぞれのタイプには、灰色と区別できる数字が残ります。2型色覚には赤い2、1型色覚には紫の6です。
違いは画像の中にある
色覚異常の人にはその違いが見えませんが、違いはそこにあります。赤を灰色で表示するなど、その人が持っている信号に違いを移せば、見えるようになります。これが、色覚異常の人のために画像の色を変えるアプリや眼鏡の原理であり、同時にその限界でもあります。違いを移し替えることはできても、欠けている錐体を足すことはできません。
- 2型色覚(強度)
- 赤チャンネルのみ
好きな表を分解する
表示中:正常
モデルでわかること、わからないこと
このサイトの表示は、平均的な観察者について発表されたモデルを使っています。実際の人には個人差があり、画面は色を変え、錐体の信号は画面の赤・緑・青から推定したものです。モデルが示すのは、どんな情報が失われるかであり、特定の人の見え方そのものではありません。